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サイト開始2周年特集「私的ロンドン動物園ペンギン案内」〜その11=最終回〜ロンドン動物園の「ペンギンビーチ」は、新たなペンギンブームのさきがけか?

2011 年 9 月 15 日 木曜日

さて…、10回にわたってペンギンビーチをご案内してきたが、いかがでしたか?いろいろ普段考えていることをついでに書いてきたので、ちょっと理屈っぽくなってしまった点は、ご容赦願いたい。

イギリスの最新施設といえども、決して何から何まで最新技術のかたまり、というわけではないこと。伝統のある動物園が、いかに様々な手法を駆使しているかということ。水族館の手法をどういう所にどれくらい採用すれば、動物園のペンギン展示を新鮮で効果的なものにできるかということ。ハード面だけでなく、教育活動をいかに有機的に組み合わせていけば、ペンギンの生態や現状に対する一般の理解を深められるかということ。

日本では、水族館でのペンギン展示に関心が集まる傾向がある。しかし、長い歴史をもつ動物園でのペンギン展示施設にも、「リニューアル」の時期が迫っている。限りある予算や時間、施設的制約の中で、いかに効果的なリニューアルを実現するか?何も考えなければ、既存の類似施設のコピーを造ればよい。でも…、本当にそれでペンギンを飼育・展示し続ける意義があるのだろうか?

野生のペンギンたちの過半数の種が「絶滅の危機」に直面している。そういう現実の中で、動物園・水族館の飼育下個体群を、何十年も昔の飼育感覚で管理し続けることは、単なるマンネリとして片付けてよい問題ではない。それは、園館の現代的存立意義に関わる極めて重大な問題だと思う。

これからの園館は、たとえ小規模であっても、施設の改変にあたっては、そこで飼育・展示される動物の現状をよく知り把握して、新しい施設のコンセプトを十分に検討すべきだ。そういうインサイドワークの濃度が、新施設の仕上がりと運用とに露骨に現れる。

さて…、ロンドン動物園を去るにあたって、メインゲート近くにある2つのものに、ぜひご注目願いたい。

1つは「タイガーポスト」。上野動物園日本動物園水族館協会では、パンダやエンペラーペンギンの貯金箱を設置して、保全・研究への協力を呼び掛けている。ロンドン動物園では、使い古した郵便ポストがタイガー柄に返信して、同じ役目を担っているのだ。

ロンドン動物園の「タイガーポスト」 ロンドン動物園の「タイガーポスト」

もう1つは、こんなサイン。日本でも、最近、都市部でのスズメの減少が顕著になっている。ロンドンでも、同じような状況にあるらしい。こういう地域の野生に対する細かく地道な対応を適切にアピールしていくことも、園館の社会的意義を実証しその義務を果たしていくことになると思う。

スズメの減少に関するサイン スズメの減少に関するサイン2

ところで、今回のイギリス訪問では、ロンドン動物園とエディンバラ動物園を重点に据えた。だからちょっと油断していたのだが、どうやら「ロンドン水族館」にも新しいペンギン展示がオープンしたらしい。

このリーフレットは、実は、帰りのヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレットラック」で見つけた。その時は、もうロンドン市内に戻る時間がなかったので、水族館訪問は諦めなければならなかった。

ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」2 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」3 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」4 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」5 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」6 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」7 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」8 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」9 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」10 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」11 ヒースロー空港の通路に置かれていた「リーフレット」12

事情通によると、この水族館で飼育されているのは、エディンバラからきたジェンツーたちらしい。リーフレットに描かれた概略図によれば、ジェンツー展示は、あのメルボルン水族館の展示によく似ている。ひょっとすると、同じ業者が建設を手がけたか、経営母体が同じなのかもしれない。

そんなことを考えながら、今回の旅で手に入れた各種飼育・展示施設のリーフレットを眺めていて、フト頭の中をよぎった懸念がある。

オーストラリアでも、イギリスでも、最近いくつもの園館でペンギン施設のリニューアルや増設が続いている。しかも、どうやらそのペースは加速している。このサイトでも、昨年ご紹介したが、メルボルン水族館の新しいペンギン展示施設は、多くの観客を集め、高く評価されている。

イギリスには、大小とりまぜて非常に多くの動物飼育・展示施設がある。それらが、様々な理由から、今後ペンギン展示を加える決断をする可能性が高まっているのではないか?

その時、どんな状況になるか?果たして、これまでの「飼育・展示の基本姿勢」が貫かれるか否か?その質や精神が、高く保たれるか否か?少々不安を感じている。

今後、イギリスを訪問され、様々な施設を見学される方々に、ぜひ、今後の状況を教えていただきたいと思います。

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