なみこ様より「脱色ペンギン」に関する情報をいただきました(^○^)!!

2012 年 1 月 15 日 日曜日

まずは、なみこ様よりいただいた以下のメールをご覧下さいm(__)m!!

「南極海のヒゲペンギン(アゴヒモペンギン)のコロニー(集団繁殖地)で1月9日、珍しい遺伝子変異の“色の薄い”ペンギンが発見された。

脱色ペンギン
“White,” Albino-like Penguin Found in Antarctica

 この“ブロンドの”ペンギンは南極海、サウス・シェトランド諸島のある島の海岸で確認された。見つけたのは、ナショナル ジオグラフィック協会のトラベル部門が募集した「南極への旅」(Journey to Antarctica)クルーズツアーの参加者たち。ツアーを共同で運営しているクルーズ会社リンドブラッド・エクスペディションズのナチュラリスト、デイビッド・スティーブンス氏は、参加者らが「とても驚いた」とブログで報告している。

 ワシントン州シアトルにあるワシントン大学のペンギン専門家ディー・ボースマ(P. Dee Boersma)氏は、アルビノのように見えるが、実際にはおそらくイザベリニズム(isabellinism)だろうと言う。

 イザベリニズムとは、2009年に海洋鳥類学の専門誌「Marine Ornithology」に掲載された論文によると、遺伝子変異によってペンギンの羽毛の色素が薄くなった状態を指す。その結果、本来は黒い部分の色が「均等に薄くなり」、灰黄色から薄茶色になるのだという。

◆イザベリニズムはアルビノとは別物

 イザベリニズム、白変種(leucism)、アルビノはいずれも専門的には異なる遺伝形質を指すが、しばしば混同して使われている。白変種というのは体毛のメラニンが生成されなくなる遺伝子変異で、虹彩は通常の色のままだ。これに対し、アルビノの個体では全身でメラニンがまったく生成されない。

「ペンギンでは多くの種において、このような配色の個体がまれに現れる」とボースマ氏は電子メールで取材に応じた。

 これまでに確認されたイザベリニズムの個体の大多数は、南極半島全域にみられるジェンツーペンギンだった。同じ形質を持つ個体が最も少ないのは、南米の沿岸部に生息するマゼランペンギンとされる。

 ペンギンは黒い背中のおかげで、海中で上方を泳いでいる捕食者からも獲物からも身を隠すことができる。そのため、今回サウス・シェトランド諸島で確認された個体が生き延びていくうえで、イザベリニズムであることが障害となるのではないかとボースマ氏は懸念している。ただし、この問題に関する先行研究はないそうだ。

 実際、このペンギンを見つけたクルーズ船の上でも、「多くの人が、この珍しい個体が生き延びられるかどうかを心配していた」と、リンドブラッドのスティーブンス氏が書いている。

 しかし安心材料もあり、「配色が違うことで漁ではやや不利になるかもしれないが、白変種の個体も普通に子供を産み育てているのが定期的に確認されている」と同氏は述べている。

Christine Dell’Amore for National Geographic News」

なみこ様、いつも貴重な情報をお知らせいただき、本当にありがとうございます(^○^)!!

最近、南極観光やペンギン生息地へのエコツアーが増えたせいか、このような個体が頻繁に見つかるようになっています。以前、このブログでも扱った「黒いキングペンギン」や「黒いケープペンギン」、あるいは「白いアデリーペンギン」は、その具体例です。

当初、専門家の間でも、アルビノかイザベリズムかについて意見の食い違いがありましたが、今では、ディー・ボースマ博士の解説の通り「イザベリズム」説でほぼ決着しているようです。しかし、これもボースマ博士の指摘通り、ペンギンにおけるイザベリズムの研究そのものがほとんどない状況ですから、現状では推測の域を出ません。

ちなみに、このサイトの常連の方々はすでによくご承知だと思いますが、ワシントン大学(ワシントン州=シアトルにあります)のディー・ボースマ博士とは、ペンギン会議の顧問でもあり、2010年にはペンギン会議全国大会で講演していただいた、あのボースマ博士のことです(^○^)!!私にとっては、1988年の「第1回国際ペンギン会議」以来のペンギン学と保全生物学の師匠でもあり、友人でもあり、同志でもあります。世界のペンギン研究とペンギンの保全活動を牽引するリーダーのお一人なのです(^o^)v!!

さて…、今後、このイザベリズム個体たちがどのように生活し、あるいは繁殖していくのか?新しい「観察・研究テーマ」が生まれたようですね(^○^)!!

コメント / トラックバック 2 件

  1. Nachi より:

    エディンバラ動物園のスノーフレークやその子孫?たちも、このイザベリズムなんでしょうか?
    私の中ではアルビノは目が赤い…というイメージがあります。それからすると、(写真からだけですが)確かにスノーフレークやこのヒゲペンギンはアルビノではないなと思っているのですが…。
    スノーフレーク http://www.flickr.com/photos/jammach_uk/466978851/

  2. 上田一生 より:

    >Nachi 様
    ご指摘をいただき、ありがとうございます(^○^)!!
    そうですね、以前このブログでご紹介した「エディンバラ動物園のスノーフレイク(ジェンツーペンギン)」のケースもありましたね!
    エディンバラの関係者もアルビノではなく、メラニンの生成異常等を伴う全体的な皮膚の色素異常だと説明していましたから、スノーフレイクやその子どもたちの場合も「イザベリズム」だと考えられます。

    ただ、Nachi様から転送していただいた彼らからのメールには「leucism」という用語が使われていましたね。
    さらに詳しい事情や原因分析結果を見なければ確定的なことは言えませんが、個体の行動や健康状態、生殖・繁殖生態や機能に異常がない訳ですから、たんなる「白化個体」だという点で、南極半島の個体とエディンバラのジェンツーたちの脱色原因は、大きく違わないと思われます。

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