「オリバ号事件」経過報告〜その2〜

2011 年 4 月 13 日 水曜日

◇「第1フェイズ」〜その2〜

油汚染事故には、様々なパターンがあります。しかし、1990年代以降、いくつもの苦い苦い経験を経て、「救護活動のノウハウ」が積み上げられてきました。

ここで「第1フェイズ」というのは、そもそも油汚染の原因となる「事故船舶」への対応期間=段階という意味です。
とはいえ、フェイズは、少しずつ重なりあい、同時進行します。次のフェイズにどのように速やかに入っていくかが、救護活動の正否や効果を分ける重要なポイントなのです。
また、そのタイミングは、事故によって激しく変化するため、どれだけ過去に経験を積み、柔軟かつ機敏かつ沈着冷静に行動できるか、という点も救護活動の重要な注意点であり条件なのです。

では、以下に3月21日からの状況を見ていきましょう。

◇3月21日:09:00、南アフリカ=ケープタウン港から駆けつけた大型タグボート「シュミット・アマンドラ号」が現場海域に到着。
同船には、南部アフリカ沿岸鳥類保護財団(SANCCOB)のエステル・ファン・デル・メーヴが乗っていた。

15:15以降、現場海域で「掃海作業」に入る。掃海作業には、流出した重油を吸着剤で吸収する作業や、沈没した船舶から流出した重油が広がらないよう、事故船舶の周囲に「オイルフェンス」を展張する作業などが含まれます。
この日までに、すでに2万羽のキタイワトビペンギンが重油を浴びたと判断された。

◇3月22日:トリスタン島警察のコンラート・グラスの報告によれば、トリスタン本島南部海岸で換羽中の個体は全て無事とのこと。
グラス氏の本業は警察官だが、イワトビペンギンに関する著書もある著名なバードウォッチャー。キタイワトビは、この時期、繁殖後の換羽に入る。

◇3月23日:オリバ号の船内には、1500トンほどの燃料用の重油の内、20%程が残っている模様。
グラス氏が、重油を浴びた約750羽のキタイワトビをナイティンゲール島から救出し、トリスタン本島に運ぶ。ケープタウン港で、SANCCOBの「救護チーム」が出動待機中。
しかし、現場海域までは、片道約2800キロメートルの厳しい航海が必要。20ノットでまるまる6日間かかる。

(続く)

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