「自分の役割を果す」ということ=「ペンギンに関わり続けること」の続き

2011 年 4 月 7 日 木曜日

kochan-mama 様、恋愛歌 様、マッキーの母 様、お心のこもったコメントや情報をありがとうございました(^o^)/
皆様のお言葉の一言一言が、今の私の「心のキズ」を癒してくれますm(__)m!!
私も、先日の「それでもペンギンと関わり続けること」を書いて、少し気持ちが楽になりました。しかし、それで現実が改善されるわけではありません。

そこで、もう1回だけ、「続き」を記したいと思います。

宮崎駿さんが、会見や新聞記事の中で、繰り返し仰っている通り、私も「立派なことを言う」つもりはありません。
しかし、私の場合は、職業柄、毎日「十代の若者たち」の真剣な疑問や問題に応えていかねばならない立場上、何も言わないわけにはいかないのです。
テレビ等でも報じられている通り、被災地の現場で、毎日子どもたちに接している同業者=教員の皆様の心中を察すると、胸がつぶれる思いです。
自ら被災し、親族や友人や家を失いながら、それでも子どもたちに応えていかねばならない教師たち…。
どうか、心と体の平衡を保ち続けて下さい!で、時々ちゃんと休んで下さい!!

実は、コメントを下さった「マッキーの母」様は、3年前卒業した、私の教え子のお母様なんです。
ご子息は、現役で大学に進まれましたが、いただいたコメントにもありました通り、やはり「将来のこと」で悩んでいらっしゃるようです。当たり前ですよね!

現在、私は3年生の担任をしておりますが、生徒は努めて明るくしているように見えます。
しかし、話が「進路のこと」に及ぶと、表情が曇ります。これも、当たり前ですよね!

それでなくとも、震災以前から、すでに世間は「不景気」で先の見にくい経済状況でした。
そこに、この一撃!私が、今、彼らの立場だったら、とても平静ではいられないかも知れません。

kochan-mama様のご指摘にある通り、今回の震災は、東北地方の経済活動を、ほぼ根こそぎなぎ倒しただけでなく、関東地方、首都圏全体の経済、ひいては日本経済全体に、極めて深刻なダメージを与えていることは周知の事実です。
残念ながら、信じがたいほど近視眼的で利己的な一部西日本の「偉い方」が、「これは西日本のチャンスだ!」と言ったとか言わないとかいうウワサがたちましたが、たしか、阪神淡路大震災の時も、それに類した発言をして顰蹙をかった人物がいましたね。
いったい今、やれ西日本だとか東日本だとか言うことに、どういう意味があるというのでしょう?我々は、浸水しつつある同じ「日本」に乗り合わせているのです!!

東北地方の人々は本当に我慢強い!!風土と歴史がその「忍耐力」を涵養したとも言われますが、その辛抱強さは驚嘆に値します。東北にルーツをもつ妻を、もう40年間以上観察してきた夫の実感だとお考え下さい。

だから、今回の史上最悪の天災に際しても、これほど沈着冷静、粛々と救助、支援、復旧活動が展開されているのでしょう。
しかし、彼らの忍耐や我慢にも限界があります。もちろん、気力・体力は、すでに限界を越えつつあります。
被災地の方々は、もう十分「自助努力」を果たされたのです!
次は、誰が何をしなければならないのでしょうか?これ以上、どうして「被災者本人」に重い責任や義務を課さねばならないのでしょう?政治家の責任は、極めて極めて重い。そう言わざるを得ません。

「皇居のお堀を泳いで渡って政府批判をしようとした人がいたらしいよ…」とは、妻からの新聞情報です。
まあ、やってることはメチャクチャですが、その変人の奇行の「根底にある思い」は、私にもなんだかわかる気がします。
つまり、みんな、市井の民草は、懸命に生き抜こうとしてもがき苦しんでいるのに、その成り行きをおよそ他人事のように平然と眺めているだけの「責任者」がいるのです!

私の勤務校は、震災直後、しばらく休校措置をとりました。
その時、私は自分の担任しているクラスの保護者全員に宛てた「休校通知メール」の最後に、子ども達へのメッセージとして、概略以下のようなことを記しました。
「この危急の時に、家族の一員としての自分が果すべきことを良く考え、自覚して生活して下さい。また、来年度は本格的な受験生となる自分が、今なすべきことは何か、よく考えて学習して下さい。」

いつも、「国家と個人」ということがテーマになると、必ず指摘される言葉があります。
いわく「国家があなたに何をしてくれるかを問うのではなく、あなたが国家のために何ができるのかを考えなさい。」実に美しく立派な金言です。しかし、それは万能ではありません。
これは、民主主義における「権利と義務」についての基本的概念の1つです。
今、この国家的危機に際して、市民は「自助努力」という義務を絶え間なく果たし続けています。
では、被災者の、国民の「基本的人権」は、果たして誰が護ってくれているのでしょうか?生存権、財産権は踏みにじられていないのでしょうか?
無視されている人権が、あまりにも大きいため、為政者にはそれが見えていない、リアルに認識されていないのではないでしょうか?

前回のブログについて、日頃親しいある新聞記者の方から、直接長文のメールをいただきました。
その方は、やはり今の政治の混乱に腹を立てていらっしゃる反面、「それでも身を呈して救助や復旧にあたっている政治家も少なくない」と仰っています。その通りだと思います。

しかし、私が指摘したいのは、あくまでも各々が「自分の役割を果す」という部分なのです。

私は、このサイトを、震災当日から「安否情報確認の掲示板」としました。
続いて、「支援活動」の告知に移り、現在は、それらを継続しながら、「通常の内容」を回復し、さらに「長期的な支援・復興活動」を検討しています。
私が、現在の勤務を続けながらできること、しなければならないことは、「人とペンギンとを見守り続ける」ということだけです。

ところで、政府や国家レベルの政治家の仕事=なすべきことは、一体なんでしょうか?
それは、被災地で自ら瓦礫を片付けることなんでしょうか?記者会見で「禁止令」を連発し他の失敗を批判するだけで良いのでしょうか?
彼らの基本的義務=仕事は、「今、この時に苦しみ、生命・財産を失うという基本的人権の危機にさらされている日本国民を速やかに保護する」ということ。
「将来の、中期的、長期的復旧・復興の見通しとビジョンとを、これも速やかに国民に提示し、民心を安定させる」ことではないでしょうか?

震災後、1週間ではそれは難しかったかも知れません。
しかし、すでに3週間が無為に経過し、その間多くの被害や犠牲者が新たに出ていることに、一体誰が責任をとるのでしょうか?

今回の震災で、私が失ったものの1つが、「安心感」です。あるいは、ぼんやりとした「安定感」、「信頼感」と言っても構いません。
今までに大きな災害を経験された方々から見れば、「そんなものはとっくの昔になくなってるよ!」と仰るかも知れませんね。

しかし、私の中には、「こんなはずじゃない!」、「もっと安定した未来があったはずだ!」という、今となってはかえって滑稽なくらいの、「なんの根拠もない楽観」が巣くっていたのです。
それが、当たり前の話ですが、もろくも崩された、というわけです。

もちろん、私は「市民の力」、「仲間の力」、「民間のエネルギー」を信頼しています!!
今回の震災で、ここに寄せられた皆様のパワーを、確信しています。

しかし、一方で、私の生徒達に、「己のなすべきことをなそう!」と言うにあたって、あまりにも「お手本にならない政治家」が多いため、心底悩んでいるのも事実です。
「ああなっちゃいけないよ!」という「反面教師」の好例ではあるんですが…。

ともかく、若者に希望を与えられる大人でいたいなあ。そう自分に言い聞かせる毎日です。

コメント / トラックバック 9 件

  1. kochan-mama より:

    上田先生

    先生の文章、何度も読み返しました。
    これまでの4週間、あまりの惨状と近親者の被災(命に別状ありません)に、浮き足立っている自分がいました。今、先生の「己のなすべきことをなそう」という言葉が心に突き刺さります。いつまでもおろおろしていてはいけないと思います。
    そして、将来を担う若者(私も、甥っ子姪っ子はじめ周りにたくさんいます。みなさん同じですよね!)に、きちんとバトンを渡せるようがんばっていきたいと思います。
    先生、ありがとうございました。そして、これからも体に気をつけて人とペンギンのため、よろしくお願いします!

  2. マッキーの母 より:

    上田先生

    被災地での辛い出来事にもくじけず、必死の勇気を振り絞り毎日を生きる様々な立場の人々の思いや 直接の被災はしていないものの 間接的に地震により起きてしまった出来事に振り回される人々の思い。
    このブログを通して メディアでは流れない現実を知ること、今を共有できる場をいただけたことに感謝しています。

    出口の見えない現実の中でも 桜は美しく咲ききそい 小鳥たちは恋の季節到来?とばかりにさえずり、いつもと変わらぬ春はやってきて、呆気ないほどの日常を見せてくれます。

    毎回勝手に登場させられるわが息子は 「 やれやれ・・・パニック起こしてても始まんないし、将来を悲観してても世の中すぐに変わるわきゃないし・・・(略) ひとまず今やれることやらなきゃね〜 」と いち早く日常を取り戻す努力をしています。

    彼らよりかなり長く生きている私ができることは何?と考え 行き着いたことは・・・・ 
    どんなに悔しく 悲しく 腹立たしくても 起きてしまったことは 今更取り戻せない。 直接被災もせず 生活できるのだから 私はこれまでのやりかたを少し変化させて  日常に戻ること。
    そして 様々なメディアで流れる情報を取捨選択し 今自分でもやれることに前向きに向き合う。 まさに「己の成すべき事をなそう」じゃないかと思えるようになりました。 
    思いもしなかった非日常を経験するのなら 未来を担う若者に恥ずかしくない生き方をしなければ・・・とも思います。 ( 情けないことにこう考えるのに4週間余りを費やしましたが )
     
    まだこれからも悩むことはたくさんあると思いますが そんなときはまたここにお邪魔をして 上田先生や皆さんから元気を頂きたいと思います。

    上田先生 ペンギンと人間の明るい未来を目指して お互いファイトです。

  3. manchot より:

    自分の役割・・・探してる最中・・・

    西日本に住む私にとっては、悲惨さしか伝えてくれないニュースと、どこまで正しいかわからない、原発問題。

    1番現状がわかるのが、上田先生と斎藤美香子さんのブログでした。

    悲しいですが、私に出来ることは義援金くらい・・・
    後は、継続的に何ができるか考え中です。

    あと「東北人は我慢強い」とあまり言って欲しくないですね。
    そう言われたら、余計我慢して頑張って、無理してしまいそうな気がします。

    日本全体で、東北の復興を支えていくことが大事だと思います。

    最後になりますが、上田先生もあまりご無理なさらないように・・・
    先生が倒れたら、日本中のペンギンが悲しみますよ。

  4. ダンチョウ より:

    また大きな地震がありました。
    東日本大震災の余震だそうです。
    郷内さん、私も怪我などもなく無事でした。

    仙台市内は一部の停電の様ですが、
    松島町の隣町の実家、岩沼市も現在は
    停電となっております。
    我が家は水道とガス(プロパン)は
    問題ありません。
    岩沼市は震度6弱でした。
    前回の地震と違い、揺れている時間は
    短かったものの、前回よりも強く
    感じました。
    ラジオを聞く限り、火災、ガス漏れが
    各地でおきているようです。
    又、信号機も停電している為に、
    事故も多発している様です。
    松島水族館、無事であれば良いと
    願っております。

    まずは、この場を借りてご報告まで。

  5. 上田一生 より:

    皆様、温かいお心のこもったコメント、ご意見をお寄せいただき、本当にありがとうございました!
    皆様のお言葉に勇気を得て、今日も、明日も、1日1日を過ごしていきたいと思います(^o^)/

    さて、ダンチョウ様、昨夜の大きな余震に関する速報をお寄せいただき、本当にありがとうございます!
    草野さんからも、ご連絡いただき、少しずつ、新しい状況が把握できてきました。
    何か、新たに必要なもの、私たちにできることがありましたら、ぜひご連絡下さい!!

    なお、今後の情報につきましては、「東日本大震災関連情報」のカテゴリーに、今回の大きな余震(4月7日余震)に関する専用掲示板を設けましたので、そちらにご連絡いただければ幸いです!!

    お忙しいところを、大変申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申し上げます!!

  6. 恋愛歌 より:

    http://www.youtube.com/watch?v=5wZPCSzvyKk
    ペンギンがこういう行動もするのですね…
    社会性は大切だと感じますね/((^^))\

  7. 上田一生 より:

    恋愛歌 様

    貴重な映像のご指摘をありがとうございました!

    ペンギンの「利他的行動」については、かなり様々なパターンが報告されていますし、私自身も何回か直接観察したことがあります。
    抱卵したり抱雛したりしているつがい相手に食べものを与える、あるいは運ぶという行動も、野生で観察されています。
    しかし、全てのつがいがそのような行動をするわけではありませんから、個体差が大きいと言えるでしょう。

  8. 恋愛歌 より:

    実は自分で撮りました/((^^))\

  9. 上田一生 より:

    恋愛歌 様

    そうですか!ご自分で撮影されたんですか!!
    私は、常々、動物園や水族館は「第2の野生地(=フィールド)」だと考えております。
    これからも、貴重なシーンを記録して下さいねm(__)m!!

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