『あのころのデパート』(長野まゆみ著、2012年8月20日発行、新潮社)には銀座松屋の「屋上動物園」にいたペンギンの話が紹介されています(^○^)!!

2012 年 9 月 18 日 火曜日

妻が教えてくれた情報です(^○^)!!

表題の本には、こんな記述があります。関連部分(24〜25ページ)を、以下に抜粋致します。

あのころのデパート あのころのデパート あのころのデパート

一九二五年(大正十四)銀座松屋が本店を新築落成し、国内初の屋上動物園ができる。現在も当時の建物のままだが、改修や改装をかさねて、往年の豪華な姿のおもかげはない。…(中略)…わたしが子どものころ、銀座松屋の屋上にはペンギンとペリカンがいた。小さなアルミのボウルにはいった小魚を売っていて、投入口からすべりこませると、ペンギンまたはペリカンがやってきてそれを食べる。私と妹は、とくにペンギン(たぶんアデリー)に食べてもらいたくて、エサを投入する。ところが、ペリカンのほうが体長も態度も口も圧倒的に大きいので、エサの受けとり口に陣どって大口をあけ、根こそぎ食べてしまうのだ。ペリカンが遠くへ離れているすきをねらっても、バッサバッサと翔んできてペンギンを追いたて、エサをひとりじめする。

例によって、作家の年齢は明記されていません。自分の年齢を書くか否かは、もちろん書き手の自由だと思います。しかし、こういった「時代を記録するドキュメント」というか「エッセイ」の場合、筆者の年齢やその基本的生活圏というのは、記述内容の信憑性を左右するかなり重要なポイントだと考えています。

様々な部分の表現から、筆者はおそらく1950年代半ばから後半の生まれだと考えられます。となれば、ここで紹介されている松屋屋上でのペンギンとペリカンについての経験は、1950年代末から60年代前半のできごとでしょうか?

残念ながら…、私(1954年生まれ)はこの頃アメリカにいたため、当時の銀座松屋を知りません。私が、銀座や新宿あるいは渋谷にあるデパートの屋上に連れていかれたのは、もうちょっと後(1964年以降)のことでした。その頃には、「屋上動物園」というよりは、季節の企画展という感じの「動物飼育施設」があったような記憶があります。

実は、この「デパートの屋上動物園」もそうですが、1960年代後半には、各地の遊園地や行楽地には「ミニ動物園」とも言うべき施設が、結構たくさんあったと思います。そういう施設には、かなりの確率でペンギン(多くても2・3羽)がいて、この記事のような「エサやり」が基本イベントでした。

当時は、まっとうな動物園でも、アデリーペンギンやエンペラーペンギンを季節によっては屋外で飼育していました。だから、こういう「ミニ動物園」でアデリーペンギンがペリカンと一緒に飼われていたとしても、不思議ではないと思います。

また、ペリカンの厚かましさは、確かにここに描かれた通りです。チリや南アフリカの生息地では、フンボルト、マゼラン、ケープたちをペリカンが脅してエサを吐き出させ、それを食べてしまうのは、ごく普通の生態です。

ただ…、再び上記の本に描かれた記述を冷静に分析すると…、常にペリカンと共にデパートの屋上動物園で展示されていた…とすれば、そのペンギンがアデリーであった可能性は低いような気がします。確かに、昭和30年代には、アデリーペンギンが多数日本にもたらされました。各地の動物園や水族館に南極のペンギンたちが展示されたのは、この頃からです。

しかし…、デパートの屋上動物園では、どうだったでしょうか?どなたか、当時の写真をお持ちでしょうか?年号が明確にわかる写真があれば、飼われていたペンギンの種類を特定することが可能でしょう。

私が、1960年代後半に何ヵ所かの遊園地や行楽地で見かけたペンギンは、フンボルトかケープでした。今後の謎解きが楽しみですね(^○^)!!

コメント / トラックバック 1 件

  1. こばやしゆたか より:

    長野まゆみは1959年生まれです。
    http://books.rakuten.co.jp/event/book/interview/nagano_m/

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