ペンギンのフンが南極の気温上昇を緩和する可能性に注目した研究について

2025 年 5 月 23 日 金曜日

 5月23日(金)、日本経済新聞社から以下のようなタイトルの記事が公開されました。

「ペンギンのフンで雲が発生、南極の気温上昇を緩和か?」

 記事の詳細は、以下でご確認下さい。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG223AV0S5A520C2000000/

 記事は、ヘルシンキ大学(フィンランド)などの研究者が、イギリスの学術雑誌『コミュニケーション・アース&エンバイロメント』に寄稿した論文について紹介しています。

 2023年1~3月、南極半島シーモア島のマランビオ基地(アルゼンチン)付近にあるアデリーペンギンのコロニー(約6万羽)周辺で大気中のアンモニア濃度を測定したところ、通常の1000倍のアンモニアが検出された・・・というもの。

 この高濃度のアンモニアなどが雲を発生させ、それがさらに気温などに影響を与えるのではないか?という仮説です。

 生物の排泄物や呼気(あるいはゲップ)に含まれるメタンガス、アンモニアや二酸化炭素などが、大気や海水などに影響を与え、それがさらに環境や気候に波及するということについては、「植物の呼吸」、「家畜のゲップ」、「海生哺乳類の排泄物」などの事例がよく知られています。

 今回のように、「南極(正確にはシーモア島は亜南極圏に位置している)のペンギンのフンから出るアンモニア」が注目されたことは初めてです。ただし、この仮説を検証するためには、かなり大規模かつ長期的なデータ収集と高度な解析が必要です。今後、類似の研究がどのように波及・普及していくのか、見守っていきたいと思います。

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