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『動物たちの130年:上野動物園のあゆみ』(公益財団法人東京動物園協会発行、ハッピーオウル社、2012年3月20日)は小宮輝之さんが解説・監修された貴重な上野動物園本です(^○^)!!

2012 年 7 月 24 日 火曜日

これも、最近やっと気づいた本です(^○^)!!

まあ、叙述に中心があるわけではありませんので、貴重な写真資料として楽しむのがよろしいかと思います(^○^)!!

ペンギンは、主に2ヵ所に登場しますが、やはりなんといっても44ページに掲載されている昭和58年(1983年)の「オウサマペンギンの散歩」のカラー写真は注目度満杯です(^○^)!!それは、右手に写っているのはあの降籏さんですし、中央には小宮さんをはじめ、上野動物園を代表するスター的なスタッフが勢揃いしているからです!!

『動物たちの130年:上野動物園のあゆみ』(公益財団法人東京動物園協会発行、ハッピーオウル社、2012年3月20日) 『動物たちの130年:上野動物園のあゆみ』(公益財団法人東京動物園協会発行、ハッピーオウル社、2012年3月20日) 『動物たちの130年:上野動物園のあゆみ』(公益財団法人東京動物園協会発行、ハッピーオウル社、2012年3月20日)

上野動物園をはじめ、全国の園館の歴史は、その都度、各々の自治体や経営母体によってまとめられ公刊されてきました。また、一部は、好事家や園館の経験者=OBによってまとめられてきました。しかし、歴史学としての専門的な立場から、厳正な史料批判を経て、適切な叙述によってまとめられた正式の「動物園または水族館の歴史書」は、未だに現れていないと思います。

業界内に身を置き、ご苦労されてこられた方々の「回顧録」や「自叙伝」あるいは「思い出の記」、または自治体によって刊行された「公文書としてのXX年史」のような著作にもそれなりの価値はあります。しかし、それは歴史の一面を伝えているに過ぎません。園館の外にあって、しかも好事家的な見地からではなく、科学的・歴史学的な見地・手法を駆使して異なる視点から詳細かつ実証的にまとめられた日本の園館に関する著作が公刊されるのはいつのことか?

次の楽しみはそこにあるような気がします。

コメント / トラックバック 2 件

  1. sakamoto より:

    確かに歴史学としての立場で書かれたものは思い浮かびませんが、
    東海大学出版会から出された「水族館学」 西源二郎、鈴木克美著には、
    水族館の発祥から発展の歴史的な記録も書かれています。

    まあ、どちらも水族館業界の方出し、歴史学の立場ではないですが・・・散逸している資料を集め、その歴史をたどりながら、執筆された本ですが、これを超える水族館の本はなかなか出ないと思います。

  2. 上田一生 より:

    >>sakamoto様

    お忙しいところを、いつも貴重なコメントをいただき、本当にありがとうございますm(__)m!!

    ご指摘の書籍につきましては、このブログでも「ブックレビュー」のカテゴリーで2011年2月19日(思えば…大震災の前だったのですね)にご紹介し、私なりの考え方を述べさせていただきました。
    ご確認いただければ幸いです。
    http://www.penguin-ueda.net/weblog/bookreview/2329

    ご指摘の通り、この大著の前半には、かなり詳細な「園館史に関するまとめと分析」が展開されています。私も熟読させていただきました。
    そしてこの分析は、最近30年間に著された園館史に関する著述の中では最も専門的で網羅的なものだという点で、私も異論はありません。

    しかし、残念ながら、歴史プロパー的にこれを読むと、「原典批判」や初出分析をはじめ、一次史料の取扱いや二次・三次史料の解釈や分析にいくつかの基本的手続上の空白が散見できます。
    また、社会史としての視線、文化史としての視線、経済・政治史、あるいは教育史としての視線、中でも「史学史」的な分析=過去の内外の「園館史」に関する書籍・論文(先行文献)の網羅的分析が不足している感が否めません。
    これらは、簡単に研究できることではありません。歴史研究には、長大な時間と気が遠くなるほどの単純作業(文献収集を含む)と、莫大な研究費が不可欠です。

    今のところ、日本には「園館関係の史料を一元的網羅的に収集・保管・分析しようという専門機関や研究施設」は存在しないと認識しています。
    これは、私が、過去にこのブログで何回も主張してきたことです。
    また、「水族館と動物園の歴史」を別々の視点でまとめていかなけばならないのか?についても、基本的な立場に疑問が残ります。

    いずれにしても、私が提案しているのは一朝一夕では実現不可能な事業です。
    それは、園館における「大日本史」編纂ともいえる、一種の巨大プロジェクトになるはずです。誰か個人が、簡単に成し遂げられることではない…と覚悟しています。
    しかし、挑戦するに足る、知的冒険になることは間違いありません。

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