フォークランドの風=斎藤美香子さんからの最新フォークランド情報

2010 年 11 月 16 日 火曜日

このブログでは、最近特にですが、斎藤美香子さんを「パーククイーン」としてしかご紹介していません。
実は、これは、完全にバランスを欠いたご紹介としか言いようがありません。

皆さんすでによくご存じの通り、斎藤さんの素晴らしいサイトには、いつも爽やかな「フォークランドの風」が吹いています。
斎藤さんは、もう9回もフォークランドを訪ね、この地域の保全団体=フォークランド・カンサベーションの会員として活躍してこられました。

私が、何よりも「凄い!」と思うのは、この地で、すでに数十年間「研究・保全活動」を続け、特にニュー・アイランドを買い取って島全体を「サンクチャリ」として管理・運営していらっしゃるイアン・ストレンジさんとの交流です。

私は、まだ直接の面識がありませんが、すでに斎藤さんを通じて、イアンさんご自身やお嬢さんのジョルジーナさんとも交流をしてきました。
例えば、下関の「ペンギン村」を監修した時にも、この新施設で使う「野生地のオリジナル映像を撮影したい」という要望に、喜んで力を貸して下さいました。

今、「ペンギン村」の館内で流されている「フォークランドの映像」は、斎藤さん、イアンさん、ジョルジーナさんのお力添えがなければ、実現できなかった貴重なものです。
特に、亜南極ゾーンに降りた左手の壁一面に貼られている「ジェンツーペンギンたちの写真」は、ジョルジーナさんが苦労して「水族館のサイズと要望通りに」オリジナル撮影して下さった「特注作品」なのです。

さて、斎藤さんは、今年の年末、10回目の「フォークランドへの旅」に出られる予定です。その詳細な経緯と情報については、斎藤さんのサイトをご覧下さい。
ここでは、斎藤さんのお許しを得て、事前に教えていただいた「フォークランドの最新情報」を、簡単にご披露したいと思います。

最近は、特にアルゼンチンとウルグアイの南米情報を多く取りあげてきましたので、ここで、目を大西洋上の「亜南極圏に浮かぶ島」=フォークランド諸島に向けてみるのも、意味があるかもしれません。
例えば、あのリチャードさんの所のイワトビペンギン=ピキは、ひょっとししたら「フォークランド生まれ」かもしれないんですから!

斎藤さんによれば、今、フォークランド諸島で起こっている「大問題の1つ」は、島と島を結ぶ「住民や観光客の足」であるヘリコプターと小型飛行機のことだそうです。

例えば、イアンがサンクチャリにしているニュー・アイランドへの「ヘリ料金」の「非住民料金」は、3年前の10倍に高騰しており、スタンレー〜ニュー・アイランド間の料金が、日本〜フォークランド間の国際料金よりも高いそうです。
従って、そのこともあり、今回は、斎藤さんはニュー・アイランドへは行かず、スタンレーでイアンさんに会うということです。

「足の問題」は、さらに深刻さを深めているようです。
フォークランド諸島の各島の滑走路は、「短い、危ない」という批判があり、現に、3つの島への小型機運行が取りやめられているとのこと。
今年、その内の1つに、ようやく政府の助成金がつき、滑走路の建設が始まったそうです。
しかし、ニュー・アイランドについては、未だに助成金の額も着工の見通しもついていないのが現状です。

だから、イアンさんが、今最も力を入れているのは、こういったいわば「インフラ」整備の促進を、フォークランド政府に掛け合い、少しでも早くそれが実現して、島民の暮らしも、野生動物も、観光客も恩恵を受ける状態にもっていくことにあるようです。
これまでの「現場仕事」は、徐々に娘のジョルジーナさんにバトンタッチしつつ、保全活動が全体的にも、世代的にも拡大・充実するように考えていらっしゃるのではないか?斎藤さんは、そう感じていらっしゃるようです。

もう1つ、貴重な話があります。それは、「調査によって知り得た事実をどうするか?」という問題。
ここからは、しばらく、斎藤さんからのメールを、ほぼそのまま引用する形(一部を改変しました)で、ご紹介しましょう。

毎年9月末に、イアンは『ヘリによる空撮写真を使ったマユグロアホウドリの生息調査』をしていますが、今年の結果について、最近メールがありました。
それによると、今年もマユグロアホウドリは確実に増加中とのこと。
しかし、フォークランドコンザベーションは、この事実を公にしないでいる。
それは、海外の人々の危機感を高めるなど、寄付や資金調達の問題のためです。

イアンは、減っている生物も増えている生物も明らかにし、どのように減っている、増えているということを、きちんと分析しなければ将来の保護対策に役立たないと考えている。
その分析の部分までは我々では資金の手が回らないから、フォークランドコンザベーションにそこをやって欲しい。しかし、彼らは生息調査の結果に関するデータを渡しても、外には発表しない。

1つの生息地に、複数の「保護団体」やグループがある場合、その団体間の意見・方針調整に、微妙なズレが生じることはよくあることです。
しかし、「基礎的な調査結果」を発表しないということは、少し意味が違うと思います。
みんなが「同じ現状認識=データ」に基づいて、考え、意見交換し、行動するという原則を曲げてしまうと、その先に待っている結果は、決して思わしくないものになるでしょう。

ここでもまた、「お金の問題」は、深刻なテーマの1つなのです。

ともあれ、斎藤さん!フォークランドの最新情報を、楽しみにお待ちしております!
どうか、お気をつけて行ってらっしゃい!!

コメント / トラックバック 2 件

  1. 斎藤美香子 より:

    先生、こんな風にご紹介頂けるとは思っておりませんでしたので、今日の記事のタイトルを見てびっくり仰天してしまいました(笑)。
    しかも、何と身に余るような紹介を頂き・・・ご期待を頂けるのは大変ありがたいことと存じますが、まだまだ力不足・経験不足を感じております。

    今回ご紹介頂けたのを素直に励みとし、より一層真摯にこの南大西洋の楽園をライフワークとしていきたいと思っております。ホームページを通じて、現地の情報発信もよりタイムリーにしていきたいと思います。

    今後とも宜しくご指導ください。

  2. 上田一生 より:

    斎藤美香子 様

    ご丁寧なコメント、ありがとうございました_(._.)_!!
    斎藤さんのライフワークが、ますます充実していくことを楽しみにしております(^o^)/

    こちらこそ、よろしくお願い申し上げますm(__)m!!

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