チリの貨物船座礁事故への対応について考える(^○^)!!

2012 年 8 月 26 日 日曜日

昨日、チリで活動中の近藤様から「アルガロボ近くのサンアントニオに貨物船が座礁し燃料用重油流出の危険が高まっている」との情報をいただいたことをお伝え致しました。近藤様からは、まだ続報がありませんが、昨日の段階ではIFAWのホームページには特段の活動報告はありませんでした。現在、「緊急支援募金」開始の準備を整えながら、各種情報の収集にあたっているところです。
ところで、これまでのチリでの活動の中で、このような事態にチリの関係者がどのような対応をとってきたか?…ということについて、いくつかの課題があることが明らかになっています。例えば…こんな事情があります。

「動物園の管轄が都市住宅省のため、基本的に他からの要請がなければ動物園が独自に取り組むこともないといったことが現状である。しかし、動物園周辺で衰弱した動物が見つかった際にそれを受け入れる体制はある。」

私は、野生動物に関わる重大な事件や事故が発生した場合、園館は極めて重要な「救護施設」であり、そのスタッフや支援者は、事故対応に関するイニシアチブをとるべき立場にある、と考えています。

ペンギンに関する具体例としては、オーストラリアやニュージーランドの園館の活動姿勢と実績が最も良く知られています。コガタペンギンはもとよりキガシラペンギン、イワトビペンギン、エンペラーペンギン、キングペンギン、フィヨルドランドペンギンの傷つき油汚染された野生個体が発見されると、様々な機関・団体・個人と連絡をとりながら、これ等の個体を確保・収容し、適切な手当てを施して回復させてからリリースしているのです。その間、個体の事情が許す限り、一般の入園者にもその様子や個体を公開しています。

一方、南アフリカでのケープペンギンの救護活動について何回かお話して参りましたが、その際にも、園館関係者の積極的関与は不可欠の要素でした。大きな項目だけでも、以下のような効果があります。

  • 1、ペンギン取扱い=ハンドリングのプロとして、関係者やボランティアの指導にあたる。
  • 2、飼育施設の基本は、細部にいたるまで「救護収容施設」と共通しているので、適切な収容施設設置・管理・運営ができる。
  • 3、ペンギンの疾病・外傷に関する豊かな症例・治療実績をもち、しかも獣医師や獣医看護士を擁しているので、独立した治療チームとしても、治療施設の指導者としても最も重要な立場にある。
  • 4、救護活動や収容期間が長期化した場合でも、本来の園館施設を利用して、収容個体の繁殖・リハビリテーションに貢献できる。
  • 5、ペンギンに関する詳細な情報を豊かに保持しているので、救護活動の意義やペンギンの生態について、救護活動を支援して下さる方々への公報活動を指導できる。

野生動物の救護活動は、長期的視点に立脚する保全活動とは、重なりあう部分を持ちながらも、その大部分はかなり独自のノウハウから成り立っています。特に、迅速さと着実さの両方を同時かつ高度に求められるという点において、極めて現実的で即効性のある活動である必要があるのです。

しかも、関わりがある領域は、単なる生物学的領域にとどまらず、政治、軍事・警察、法律、経済、医療(人間の安全に関わる範囲)、宗教等々…、事件や事故の規模が大きければ大きいほど、極めて複雑で総合的な組織的問題解決能力が必要な分野にまたがるのです。具体的には『ペンギン救出大作戦』に詳しく記しましたので、ご確認下さい。

すでに、日本国内からも、かつて深刻な重油流出被害を受け、その対応に当たられたご経験をお持ちの方々から、「万一実際に重油が流出したら現地で救護活動のお手伝いがしたい!!」という、大変心強いお申し出をいただいております。本当にありがとうございます!!

重油流出事故への対応には、かなり専門的な知識と技術が必要である一方、できるだけ多くのボランティア(人手)も必要なのです。

今後、どのような展開になるのか?チリ政府や関係の方々の動向やお考えを十分確認し了解をとりつつ、対応していきたいと考えております。

皆様の、ご理解とご支援とを、今後ともよろしくお願い申し上げますm(__)m!!

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