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ドバイの巨大なスキードームで飼育・展示されているペンギンたちの映像(動画)を紹介していただきました(^○^)!!

2014 年 1 月 30 日 木曜日

最近、ある友人から教えていただいた動画映像です(^○^)!!まずは、下記の映像をご覧下さいませ_(._.)_!!

これは、ドバイにある巨大なスキードーム=「Ski Dubai」の中にあるペンギン飼育・展示施設の広報映像です。皆様ご存知の通り、ドバイには巨大な水槽をもつ水族館があり、世界中から観光客を集めています。

このスキードームも大人気の施設で、数年前からその一角に「ペンギン飼育・展示施設」をつくろうという計画がありました。雪を売りにする娯楽施設ですから、そこに雪を利用してペンギンを飼うとなれば、当然飼育するのは亜南極か南極のペンギンたちですね。映像をご覧の通り、登場するのはキングペンギンとジェンツーペンギンです。

映像には、多数のスタッフがペンギンたちの世話をしたり、トレーニングをしたり、パフォーマンスを披露したりする様子。それから、子どもや大人を対象とする「教育プログラム」などが簡単に紹介されています。これらを表面的に見ている限り、ペンギンたちは素晴らしくトレーニングされ、スタッフの意のままに動き、最高の環境で飼育されているように感じます。ペンギンたちとスタッフの関係にビックリしてしまうかも知れません。

しかし、動画の画面は微妙かつ巧妙にカットされ編集されていて、ペンギンたちの一連の動きの前後が判然としません。例えば、ジェンツーたちがいろいろな小道具に反応したり、スタッフが投げ与える餌をキャッチしたり、スタッフのサインで走り回ったりするシーンが出てきます。これらの行動は、場合によっては初対面の野生のペンギンたちでも可能な反応です。ジェンツーペンギンやイワトビペンギンは、ペンギンの中でも非常に好奇心が旺盛ですから、個体によっては驚くほど意図的に人為的な行動を惹き起こさせることが可能な種類なのです。

また、キングペンギンのパフォーマンスの多くは、すでに日本国内の施設でも観察可能な行動です。むしろ、日本国内の施設の方が、より多様な反応を観察できるでしょう。

私が注目し、気にしているのは、そういったパフォーマンスではなく、多数のキングやジェンツーたちが生活している飼育施設の広さ、機能、環境条件です。映像で見る限り、ペンギン専用プールは決して大きいとは言えません。また、照明設備や照明計画が、細かくペンギンたちの生理・生態、特に繁殖生態を考慮してつくられ設定されているようには感じられない点です。

現在、世界のペンギン飼育・展示施設に求められる基本的条件の1つに「ペンギンを飼い殺しにしない」ということがあります。これは、飼育下にあるペンギンたちの基本的生活や行動を尊重することにもつながります。ペンギンたちが自然にふるまい、自然に繁殖することができる環境を準備することは、そういう施設を造るサイドの、いわば「義務」だと考えています。

このドバイの施設がペンギンたちの繁殖にどのような配慮をし、実績を上げているか、詳しく正確なことは未確認です。これに関しては、今後の経緯を見守る必要があるでしょう。

一方、ペンギンのトレーニングがいわゆる「ショー(見世物)」のためだけに行われているか?というと、この動画からは「そうではなくきちんとした狙い(飼育・管理上の効果)がある」ということが確認できます。例えば、ジェンツーを一定の場所に立ち止まらせるシーンは「ストレスが少ない体重測定」が可能だということですし、ペンギンの体を厳しく拘束してストレスを与える「保定器」を使わずにペンギンの足や体を観察し触診したりするシーンは、採血や健康チェックがスムーズに行われている証拠でもあります。

さらに、ペンギンたちを走らせたり動かしたりすることによって、運動不足を解消したり、様々な飼育下特有の病気を予防したりといった効果が期待できます。一見、ただのパフォーマンスにしか見えない動きにも、実はペンギンたちの健康を適切に管理し、できるだけストレスを軽減しようという意図が隠されているのです。

ペンギンのトレーニングについては、専門家の間でも賛否が分かれていますし、その具体的な方法論もまちまちです。イルカや海獣類のトレーニングにもそういう傾向がある(あるいは「過去にはあった」)ようですが、飼育・展示施設やそれを運営している企業や団体、あるいは特定の技術者集団が、「トレーニング・マニュアル」を特許化したりグループごとに孤立化して相互の技術交流や改善・向上のための接触を拒んだり…という弊害もないわけではありません。

しかし、飼育下にあるペンギン全体の福祉向上と野生個体群保全との両立を願うならば(つまり「飼育下のペンギンを使い捨てにして構わない」という立場に立たないならば)、ペンギン・トレーニングの評価や方法論について、今こそ、幅広い公開性を堅持しながら、真剣に議論し、意見と情報と技術とを交換していくべきではないでしょうか?

また、その過程を適切に公表し、一般の意見を十分かつ積極的に摂取することによって、ペンギンを飼育・展示している施設が展開する「教育・普及活動」の効果をより高めることもできるでしょう。

現在、アジアの新興国やエネルギー資源輸出国では、その経済力を背景に「巨大な動物飼育・展示施設」が次々に計画され造られています。このドバイの施設は、その典型的な事例ですが、一見してお分かりの通り、既存の動物園や水族館のカテゴリーにおさまりきらない新しいスタイルを持っています。広大なリゾート施設内やアミューズメント施設内に、一種の「付属施設」あるいは「動物ゾーン」として立地しているケースが多いようです。これは、言い換えれば「国策」であり、その国の政府が「観光の目玉」として期待している場合や、経済的に成長しつつある市民層への公共サービス(レクリエーション提供)の一環として展開されている場合もあります。

いずれにしても、世界人口の急増に歯止めがかからず、同時に新興国や途上国に新たな中間市民層が急速に形成され、活発に消費活動や余暇活動を行うようになっている現況を勘案すると、「動物を飼育・展示する施設」へのニーズはますます増加するだろうと予想できます。しかも、それが従来型の動物園・水族館という形式だけでなく、新しい様式に「変化または進化」しつつあるようにも感じられるのです。この流れは、おそらく当分の間(百年以上のタイムスパンで)続くでしょう。

となれば、その変化に対応しつつ、しかも、地球環境や野生動物の保全をも同時に推進していくためには、どのような考え方や理論、実際的な技術や対策が必要なのか?真剣に考えていくべきタイミングがきている。…このドバイのペンギン映像を観ていて、そんな思いを強くしております。皆様のご感想、お考えはいかがでしょうか?

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