南極や亜南極圏内に分布するペンギンたちにつきましては、これまでにも、各種化学物質や重金属の体内残留濃度に関する調査・分析結果が発表されてきました。
今回は、アメリカ、ラトガース大学の研究チームが、2024年8月、専門雑誌に発表した調査論文内容が話題となっています。
研究チームは、南極~亜南極に生息するアデリーペンギン、ヒゲペンギン、ジェンツーペンギンの3種(アンバース島の繁殖地)を中心として、これまでに発表されてきたエンペラーペンギン、キングペンギン、マカロニペンギン、ミナミイワトビペンギンなどのデータと比較しながら、2024年時点での「水銀汚染状況」を報告しています。なお、サンプルとして使用したのは、いずれの種も「羽毛」です。
それによれば、アデリー、ヒゲ、ジェンツーの中ではヒゲが最も残留濃度が高く、アデリーが最も低かったとのこと。また、過去のエンペラー、キング、マカロニ、ミナミイワトビを含めた比較では、マカロニが最も高いとのことです。
ただし、最も低いアデリーの場合でも、海水に自然に含まれている水銀濃度に比べ、アデリーの羽毛には56万倍もの水銀が含まれていたということです。
特に、亜南極圏内で繁殖するペンギンたちの場合、生物濃縮による水銀や化学物質汚染の悪影響が心配されています。
これに関する一般の報道については、以下をご覧下さい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ef7e47df5fc9807a77b008bdca9d7b58d852f2c
南極や亜南極で生活している生きものたちにも、着実に蓄積されていく水銀や化学物質。その実態や影響、メカニズムを解明していくことは、海の資源に依存している人間にとっても大きな課題の一つだということは言うまでもありません。