今回は、「ペンギンのお話」ではありませんが、「巣をつくるペンギン」にとっても、見逃すことができない「最新研究」についてのニュースです。
まずは、「ナショナルジオグラフィック日本語版サイト」の「最新ニュース」として、5月10日(土)に掲載された、以下の記事をお読み下さい。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/25/050700245/?P=1
記事のタイトルは、「人類の活動を巣に記録する水鳥、W杯やコロナ禍も」というもの。
オランダ、アムステルダムに生息するオオバンという水鳥について、2025年2月25日付で学術雑誌『Ecology』に掲載された科学論文の概要と意義について、わかりやすく紹介されています。
この研究を主導したのは、オランダ「ナチュラリスト生物多様性センター」の生物学者アウケ・フロリアン・ヒームスト博士。
記事によれば、研究グループは、アムステルダムで30年以上使われ続けた「オオバンの巣」には、アムステルダムの多種多様な「ゴミ」が含まれていて、それを「考古学的史料」として分析することで、この町の「歴史」、人々の営みが見えてくるということです。
20世紀半ば以降を、地質学上「人新世」と呼び、「人類活動が地球環境に大きな影響を及ぼし始めた時代」とすることは、比較的よく知られるようになりました。今回の「アムステルダムのオオバンの巣」が「地質学上の時代区分」を象徴する「実例」の1つであることは、間違いありません。
筆者も、「巣をつくるペンギンたち」の繁殖地で、これまで何度も「人間のゴミ」が巣材として使われているのを見てきました。アムステルダムのような都会だけでなく、人里離れたペンギンの繁殖地でも、「人新世の考古学的史料」が蓄えられつつあるのです。
今後は、ペンギンたちの繁殖の邪魔にならない範囲で、「ペンギンの巣」に蓄えられた「人類史」と、そのペンギンたちへの影響についても、研究していく必要がありそうです。