テレビ番組の告知です(^-^)/

2009 年 12 月 8 日 火曜日

penguins006-01まずは、「わが家のペンギン・クリスマス」風景、その2です。わが家では、あちこちに「ペンギンコロニー」があります。これはその1つ。ふだんはツリーはありません。ただ、いつものペンギンたちの間にツリーを加えただけで、なんとなく華やいだ感じになるから不思議なものです。一種の気分転換ですね。

さて、きたる12月14日(月)、日本テレビ「世界まる見え!テレビ特捜部」で、アメリカ制作、「Animal Planet」で放送されたペンギンドキュメント、「Return to Penguin City」が紹介されます。

元来は90分間の番組ですが、「まる見え!」では、地球温暖化問題に焦点をあてながら、これを10分間にまとめてお伝えする予定です。放送部分の詳しい内容は「見てのお楽しみ」として、今回は、このプログラムの「隠された特長」について、ちょっとお知らせしておきたいのです。

「まる見え!」では、以前にも何回か、海外の「ペンギンドキュメント」が紹介されていて、私もその都度監修をしてきました。しかし、今回、事前に送られてきた「オリジナル映像」を見て、衝撃を受けた事実があるのです。いやいや「地球温暖化の深刻さ」ではありません。この番組は、確かに「南極の異変」について語っています。しかし、その語り口は極めて冷静で、今流行りの「さあ大変だ南極のペンギンがすぐにでも絶滅するぞ!!」というような、いたずらに不安をあおるようなものではありません。事実、科学者のほとんどは、「南極のペンギンたちがすぐに絶滅する」とは考えていません。

この番組の主役であるアメリカのペンギン研究者夫婦、グラント・バラード博士とヴィオラ・トニオロ博士(ペンギン研究歴11年)も、南極ロス海でのアデリーペンギンの激しい個体数増減を、難しいパズルだと考えています。1980年代に急激な増加を見せたペンギンが、なぜ2000年代に入ってから急激に減少しているのか?しかし、減少はロス海全域で均等に起こっているのではなく、ある繁殖地では逆に増加している。気候変動が南極の生きものに与える影響は、一般に考えられているほど単純ではないのです。

では、私がびっくりしたこととは何か?それは、この若手研究者達が、あの「伝説的研究者達」の愛弟子であり、孫弟子であるということです。実は、若い2人の研究者以外に、オリジナル映像では、2人の超ベテラン研究者が登場します。1人は、デイビッド・エインリー博士。1968年以降、南極のアデリーペンギンに関する研究を続けている人物です。計算すればわかる通り、ペンギン研究歴は30年を超えます。ペンギン生物学の世界では「超有名人」。
もう1人は、エインリーの師匠、ウィリアム・スレイドン博士。彼がペンギン研究を開始したのは、なんと1947年!!62年の偉大なキャリアを持つ、アデリーペンギン研究の第一人者です。孫弟子であるグラントはスレイドンをこう表現しています。

「彼はペンギン研究者の間ではロックスター的な存在だよ!!アデリーペンギンの繁殖生態、その正確な生活史を、世界で初めて解明した人物だ。」
グラントの表現は、むしろ控え目だと思います。私にとって、スレイドンやエインリーは、どちらも「神様」みたいな存在。その「凄さ」については、ここではとても語り尽くせません。いずれ、「書評」、「ペンギン史外伝」等のカテゴリーで、じっくり紹介することにしましょう。ただ、「まる見え!」での放送分では、エインリーだけが、ほんのちょっと登場するのみ。まあ、10分間しかないから仕方ないけれど…。

そして、これが一番大切なことなのですが、こうして「三世代にわたる研究者達」によって積み重ねられてきた膨大かつ詳細な研究データがあるからこそ、現在の研究が重要な意味を持ってくるということなのです。アデリーペンギンは、既に1世紀以上の長きにわたって研究され、個体数が数えられてきました。その間、気象データや他の生物の変化についてもデータが蓄積されている。ある生物に関する「長期個体数変動」をモニターし、その原因について考えていくと、南極やその周辺の海域、そして地球環境全体の動向に関する極めて有益な情報を手にすることができる可能性が高いのです。

地球環境に関するコメントは、こういった活動に長年にわたって直接関わってきた研究者の口から発っせられるものほど、重要な意味を持つものはありません。私は、そう確信しています。だから、今回の「番組監修」のなかで、はからずも三代にわたる偉大な研究者達の素顔に接することができて、私はとても幸せでした。非常に微力ですが、彼等の存在と活動を、広く紹介するお手伝いができたかな?厚かましくも、そう考えています。

彼等の言葉はとても重い。ごく一部の短期的な調査や取材で得られた「センセーショナルな数値や映像」だけに頼って、南極やペンギンや地球環境に関する判断を急いではなりません。事態が深刻さを増しつつあることは事実でしょう。しかし、私たちは、生涯をかけて研究に取り組んできた、真摯な研究者集団の発言に、もっと耳を傾けるべきではないでしょうか?

なにはともあれ、今月14日(月)の番組をお楽しみに!

コメント / トラックバック 6 件

  1. penguinman より:

    おっしゃるとおりです!!!!私も微力ながら力の限りフンボの声に耳を傾けていきます・・・。

  2. 上田一生 より:

    penguinman 様
    「継続は力」という言葉の本当の意味に、50台半を過ぎて、ようやく少し気付きつつある今日この頃です(((^_^;)今後ともお付きあいのほど、よろしくお願い致しますm(__)m!!

  3. ダンチョウ より:

    遅くなりましたが、テレビ見ましたよ〜

  4. 上田一生 より:

    ダンチョウ 様
    いつもありがとうございますm(__)m!!その後、演奏会の準備はいかがですか?

  5. ダンチョウ より:

    演奏会の曲はほぼ決まりました。
    年明け早々に練習スタートします。

  6. 上田一生 より:

    ダンチョウ 様
    皆様の素晴らしい演奏を楽しみにしております(^-^)/

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