キタイワトビペンギンが深刻な重油被害を受けています!

2011 年 3 月 24 日 木曜日

今日、いつも重要な情報を提供して下さる、キュラソー水族館の小澤由紀子さんから、「こんな情報があります」とのメールをいただきました。
International Bird Rescue Research Center: Catastrophic South Atlantic Oil Spill Threatens Endangered Rockhopper Penguins

小澤さんも、日本全国が重大な危機にある時に、この悪いニュースを知らせるのを、最初は躊躇されたそうです。
しかし、勇気をもって知らせて下さいました!

上田のブログは、もちろん人間を一番大切に考えております。

しかし、同時に「ペンギンに特化した専門サイト」でもあります。
今、この時に、世界ではどんな出来事が同時進行しているのか?その出来事に、私たちが少しでも良い意味で関与し、手助けしていけないか?
それが、このサイトを立ち上げ、継続してきた重要な目的の1つでもあります。

そこで、以下にご紹介する情報を、まずお読みいただき、これからどうしていくべきか、一緒に考えていただきたいと思います。
ちなみに、原情報は英語で記されておりますが、若干の誤りの修正を含めて、上田が日本語に訳しましたので、その旨、ご承知おき下さい。

今回の情報の発信者は、国際鳥類救護研究センター(以下、IBRRCという略称を用います)の名誉理事、ジェイ・ホルコムさんです。
IBRRCは「南部アフリカ沿岸鳥類保護財団(以下、SANCCOBという略称を用います)」は共に、1994年の「アポロ・シー号事件」以来、南アフリカのケープペンギンの救護活動にあたってきた、海鳥救護経験豊富な団体です。
では、以下にいただいた情報を簡単に訳して記します。

南大西洋中央にある、トリスタン・ダ・クーニャ諸島で深刻な重油流出事故があり、多くのキタイワトビペンギンに危機が迫っています。

2011年3月16日(現地時間)、貨物船オリバ号が、トリスタン・ダ・クーニャ諸島の1つ、ナイティンゲール島の浅瀬に座礁しました。
船が破壊されるまでに、22名の乗組員は全員無事救助されましたが、船に積まれていた油が流出しました。

オリバ号は、リオデジャネイロからシンガポールに大豆を運ぶ途中で、船には約1650トンの燃料用重油が積載されていました。

ナイティンゲール島は、キタイワトビペンギンにとって、最も重要な繁殖地で、世界中のキタイワトビペンギンの約40%が、この島にいると言われています。
これまでに、約20000羽が重油を浴びた模様です。

島には、他にもアホウドリやミズナギドリのなかまもたくさんいますが、飛翔性のトリたちは、重油に汚染された海域を避けて飛ぶことができるので、今のところ、ほとんど被害はないようです。
しかし、キタイワトビペンギンは、汚染された海域や海岸を通って繁殖地と海とを往復せざるを得ないため、ひどい重油汚染被害を受けているのです。

IBRRCはSANCCOBと連絡をとりつつ、既に救護活動にとりかかっています。
1994年の「アポロ・シー号事件」、2000年の「トレジャー号事件」の時も、両者は協力してケープペンギンの救護活動にあたりました。

国際自然保全連合(IUCN)によれば、キタイワトビペンギンは絶滅の危険が高く、トリスタン・ダ・クーニャ諸島に生息するキタイワトビペンギンは、18000〜27000羽がインアクセスブル島に、3200〜4500羽がトリスタン島にいます。
ナイティンゲール島とミドル島には、125000つがいが、1970年代の調査で確認されていました。
しかし、最近の観察によれば、ナイティンゲール島の個体数は減少している可能性が高いと思われます。

ナイティンゲール島は絶海の孤島。島にある古い魚処理工場が救護センターとして利用されています。
飲み水は限られ、空港はありません。従って、物資補給は空中投下か、数ヶ月に一度の定期便船に頼るしかないのです。
だから、救護活動にあたる人間は、全て船上で暮らす必要があります。
ナイティンゲール島までは、南アフリカのケープタウンからでも、船で片道4日間かかります。

この1週間で、既に多数のペンギンが重油を浴びています。それらの個体が助かる可能性は低いと思います。
その個体を他の島に運ぶことも現実的ではありません。

IBRRCとSANCCOBの新たな救護チームは、他の救護団体と、互いに電話連絡しながら、現地に向かっているところです。
SANCCOBのチームは、3月27日(日)に現地に到着予定で、IBRRCのチームがこれをサポートする予定です。

トリスタン島には、約300人の住民がおり、その内100人ほどがペンギンの救護にあたるということです。

(以上が、ホルコムさんのレポートです。)

なお、さらに詳しい情報については、以下のサイトをご覧下さい。

Atlantic oil spill threatens endangered penguins: Seattle Times

MS Oliva runs aground on Nightingale Island (Note: Scroll down for latest news)

Tristan da Cunha, the Loneliest Island on Earth

では、引続き、情報がありましたら、ご報告して参ります。今の段階では、なんとか、彼らに少しでも資金的援助ができたら、と考えております。

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