そろそろ「モニター結果情報」を公表すべきだと考えています!(『野鳥』7月号の記事から考えたこと)

2011 年 7 月 5 日 火曜日

間もなく震災から4ヶ月になります。様々な被害からの復旧・復興に全力をあげていらっしゃる皆様に、心からのエールを送ります!!
暑い毎日です。どうか、お体にくれぐれもお気をつけ下さい!!

さて、私は、一応「日本野鳥の会」会員なので、他の全国5万人を超える会員同様、会誌である『野鳥』の大ファンです。
毎号、素晴らしい企画や写真を楽しませていただいております。

日本野鳥の会・会誌『野鳥』

その今月号=7月号の「緊急企画記事」を読んでいて、「やっぱりね!」との感慨にとらわれ、やり場のないイライラに苛まれています。

いや、記事の内容は素晴らしいものです。タイトルは「放射性物質が与える野鳥への影響〜チェルノブイリ原発事故後にわかってきたこと〜」で、自然保護室の山本裕さんがおまとめになりました。

「放射性物質が与える野鳥への影響〜チェルノブイリ原発事故後にわかってきたこと〜」 「放射性物質が与える野鳥への影響〜チェルノブイリ原発事故後にわかってきたこと〜」

記事の中では、チェルノブイリ原発事故後に、ツバメに部分白化が確認されたり、ツバメの尾羽が不均一に長くのびるという異常個体が見られたりした、という事実が紹介されています。
これは、放射線量の高い地域ではツバメの体内の抗酸化性物質が少なくなり、それに対応するかのように精子の奇形率も高くなって、免疫機能が低下したり、精子の異常による奇形の発生率が上がったりするためだと考えられています。

実は、震災による原発事故後ずっと、私は、身近な野鳥や昆虫等の死体や生きている個体の観察を注意深く行うようになりました。
もともと、私は中学生の頃から、コサギの観察をやっていましたので、最近は、野鳥を観察する勘が少しずつ回復してきました。

野鳥や身近な昆虫、両生類やハ虫類は、重要な「環境センサー」でもあります。彼らの姿形やくらしかたに、何か異常があれば、それは環境変化のシグナルである可能性があるのです。

世間では、ガイガーカウンター等の機材だけに判断やデータ収集を頼るきらいがありますが、私たちの身近な生き物を注意深く観察し、分析すれば、そこから重要な示唆を受けることができるのです。

記事には「放射線量と各種の生物個体数との関係」というデータも紹介されています。それによれば、鳥類よりはバッタ、トンボ等の昆虫やクモのなかまが、より放射線汚染に敏感であることがわかります。

記事は「長期で広範囲のモニタリングが必要」と訴えています。しかし、既に調査されたデータは、できるだけ速やかに公表されるべきだと思います。

また、今回は、チェルノブイリの時と異なり、大量の放射線汚染された水が海に流れ出している可能性があります。食物連鎖を通じての「生物濃縮」のことを考えると、海洋生物でのモニタリングも必要だと思います。
以前、南極海の生物から南極には存在しない多くの重金属や化学物質が検出されたことがあります。今後は、放射性物質にも注意を払う必要があるでしょう。

ペンギン達の体内に、危険な放射性物質が蓄積されていくことがないよう祈りたいものです。

コメントをどうぞ

ページトップへ