4月29日付のAFP配信の「フンボルトペンギン関連ニュース」を朝日新聞の村山様から教えていただきました(^○^)!!

2013 年 5 月 1 日 水曜日

まずは、村山様から転送いただいたAFPの記事をご覧下さい_(._.)_!!

【4月29日 AFP】南米チリ中部に位置するある「小島」の海岸沿いでは、日なたぼっこをする数十羽のフンボルトペンギンが見られるが、かつてこの場所には数千羽のフンボルトペンギンが子どもを育てるために集まってきていた──。

 チリの首都サンティアゴ(Santiago)から西に約120キロのアルガロボ(Algarrobo)沖に位置するパハロニーニョ(Pajaro Nino)島。かつてこの島には、巣作り時期に約2000羽のフンボルトペンギンが集まってきた。ただ現在ではその数は約500羽程度にまで減少している。

 チリにはさまざまな種類のペンギンが生息しているが、胸の黒い帯模様が特徴のフンボルトペンギンは、主に北部で多く見られる。

 専門家によると、チリとペルーの一部の地域でしか巣を作らないフンボルトペンギンは、人間(の経済活動)やネズミに生息地を追われたり、エルニーニョ(El Nino)現象による生息環境の変化などによりその数が年々減少しているという。

 これまで多くの専門家らがフンボルトペンギンの急速な減少に警鐘を鳴らしてきた。チリでは絶滅危惧II類(Vulnerable、VU)、ペルーではさらに危機的状況にさらされていることを示す絶滅危惧IB類(Endangered、EN)にそれぞれ位置づけられている。

 アンドレス・ベーリョ(Andres Bello)大学の生態系・生物多様性学部長のアレハンドロ・シメオネ(Alejandro Simeone)氏はAFPの取材に対し、チリとペルーに生息するフンボルトペンギンの数は現在、5万羽足らずになっていると述べ、また「多くの要因が重なりフンボルトペンギンに脅威を及ぼしており、かつての生息数に比べて著しくその数は減少している」と述べた。

■人間、ネズミ、エルニーニョ

 個体数の減少が始まったのは1978年。現在自然保護区に指定されているパハロニーニョ島が、長さ150メートルのコンクリート製の防波堤で本土と繋がったことがきっかけとなった。この防波堤は、停泊するヨットを守るために建造された。

 ヨット愛好家たちは、この地域からフンボルトペンギンを排除しているとして非難を浴びており、ヒナの誕生を阻止するべく、卵を意図的に破壊する姿を捉えたとする映像も公開された。このような行為は違法であり、この件については検察当局も捜査を進めているという。他方、年間数百羽のフンボルトペンギンが漁網に掛かることも、個体数減少の一因になっている。

 個体数減少については、エルニーニョ現象による海流温度の上昇も要因の1つに挙げられている。

 フンボルトペンギンの名前の由来にもなっている、寒流のフンボルト海流(ペルー海流)は、餌となるカタクチイワシやイワシなどを運んでくる。

 だが、エルニーニョの影響で「海水温度が上昇するため、餌となる魚が見つかりにくくなっている」とサンティアゴ国立動物園(Santiago National Zoo)の関係者は述べる。エルニーニョによる海水温度の上昇が繁殖期に起こると、親鳥による餌の確保が遅れるだけでなく、給餌ができなくなることもある。その結果、寒さと飢えのために多くのヒナが死んでしまうという。

 ネズミも大きな問題だ。防波堤で島と本土がつながったことから、ネズミなどの動物が自由に行き来できるようになり、無防備なフンボルトペンギンの卵や羽化したばかりのヒナは、これら動物の格好の餌食となっている。

 2012年の調査によると、この島では半数近くの卵が、生まれてから12時間以内にネズミなどの動物によって食べられてしまうという。(c)AFP/Paulina Abramovich

村山様、いつも貴重な情報をありがとうございますm(__)m!!

このニュースは、4月29〜30日にかけてYahooをはじめ各種媒体で紹介されたらしく、何人もの方々から「フンボルトが大変ですね!!」というご感想をいただいております。

このブログでも、2009年以降、アルガロボの現状をご紹介してきましたが、最近は、JICAから派遣されチリでフンボルトペンギン保全プロジェクトを支援していらっしゃる近藤鉄也さんの、詳細かつ最新の現地レポートを55回にわたり掲載しておりますので、ぜひごご確認下さい_(._.)_!!

このAFPの記事は、主に最近1年以内のアルガロボの状況やチリとペルーにおけるフンボルトペンギンの全体的概況を簡潔にまとめたもので、特に目立って新しい内容はありません。しかし、ペンギン会議からの情報やチリでのフンボルトペンギンの状況について何もご存知なかった方々には、かなりショッキングな数字だったことでしょう!!

今回の記事の中で「現地の専門家」として登場したシメオネ博士は、ブラウリオ・アラヤ博士と共に、アルガロボを30年間以上にわたって観察されてきたスペシャリストです。1994年以降、私やペンギン会議のメンバーが行ったチリの現地調査の際にも、アラヤ博士と一緒に現地でサポートして下さいました。

また、最近のアルガロボでの個体数激減、ネズミの被害、ヨットクラブ管理者による虐待事件の経緯についても、このブログでご紹介した近藤鉄也さんの詳細な現地リポートで、皆様既に詳しくご存知の通りです!!

大切なのは、ほかの生息地の状況はどうなのか?アルガロボから姿を消したフンボルトは本当に死んでしまったのか?それとも、ほかの繁殖地に避難しているだけなのか?さらには、どうすれば急速な個体数減少に歯止めをかけ、長期的かつ安定的にフンボルトペンギンの保全を推進していけるのか?…等々…という、現状のより正確で科学的な把握と保全のための効果的具体策の策定及びその実行です!!

このゴールに到達するには、まだまだいくつもの高いハードルが待ち構えています。ペンギン会議は、1994年以来19年間、この課題に取り組み、チリやペルーの研究者や有志、様々な施設あるいは政府関係者との人的ネットワークを構築してきました。日本とチリの園館を結ぶ国際協定の締結にも努めました。また、現在、南米〜日本〜ヨーロッパの国際プロジェクトにも加わり、これを推進しております。

フンボルトペンギンの研究と保全には、長い長い時間と大変な努力の積み重ねが必要です!!皆様のご理解と変わらぬご支援とを、今後とも何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m!!

コメント / トラックバック 2 件

  1. 近藤鉄也 より:

    yahooの記事を拝見しましたが、ペルー・チリで報道されている内容から最後の三段落がカットされています。
    そこには2009年からメトロポリタン動物園で放棄卵の保護活動をしていること、現在飼育下で6羽が育っていることが記載され、域外保全活動は種の保護にとって重要だとシメオネ氏が述べています。

    この記事の影響ではありませんが、近々アルガロボでフンボルトペンギンに関するワークショップが開かれます。

  2. 近藤鉄也 より:

    シメオネ氏・メトロポリタン動物園のスタッフはもちろんのこと、チリでフンボルトペンギンの保全に携わっている関係機関のメンバーが一堂に会する予定です。

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