「宮家のアールデコペンギン」が発見され、間もなく企画展で公開されます!

2010 年 10 月 29 日 金曜日

この話題は、本来ならば「ペンギン史外伝」で扱うべきテーマだと思いますが、間もなく開催される「展覧会」との関連もありますので、トピックスで簡単にご紹介し、さらに詳しく調べてから改めて「外伝」でご報告致しましょう(^o^)/

発端は、埼玉子供動物園園長の日橋一昭さんの「これ知ってる?」でした。
昨日=28日夜、ペンギン新施設の打ち合わせで園長室に伺うと、ポイっという感じで読売新聞(10月27日)の紙面コピーを手渡されました。
日橋園長は、以前もご紹介した通り「博物学者」で、生き物と人間に関するあらゆるジャンルに精通し、情熱的に研究を続けていらっしゃいます。

「どう?面白いだろ!!」確かに!初耳でした!

紙面は、日本史家の磯田道史さんが執筆されている「古今をちこち」と題する歴史コラム。「ペンギン『宮家』に帰る」という刺激的なタイトルが眼に飛び込んできました。

要約すると、磯田氏が馴染みの古美術店=富士鳥居で「ロイヤル・コペンハーゲン製のペンギン像(ペンギンが3体並んでくちばしを挙げているらしい)」に出会い、それが今から90年ほど前にヨーロッパを外遊した朝香宮(あさかのみや)ゆかりの品であることを確認した、というもの。
磯田氏の知己、店主の栗原直弘さんは、数百万円はするであろう「宮家ゆかりのアールデコペンギン」を、東京都庭園美術館にポンと寄贈する。
「このペンギンは旧朝香宮邸の庭園美術館にあったほうがいい」という。

一方、栗原さんから連絡を受けて駆けつけた庭園美術館の学芸員の言葉もカッコイイ。
「私は館に就職以来20年間これを探していたんです。」まさに劇的な展開ですな!学芸員が持参した古い写真には、宮邸の客間にペンギンが置かれている様子が写っているという。
すごいじゃないですか!

磯田氏は言う。「朝香宮は日本のアールデコ史の金字塔だ。ゆえに、あのペンギンは日本美術史上、ただのペンギンではない。アールデコの記念碑的作品だ。」朝香宮は外遊後、白金台にアールデコの洋館を建設し、これが日本におけるアールデコ普及に多大な影響を与えた。

実は、その「アールデコペンギン」の実物に、間もなく会える。
東京都庭園美術館では、2010年12月11日(土)〜2011年1月16日(日)まで、『朝香宮のグランドツアー』と題する展覧会が開催される。
元の場所に戻ったペンギンは、どんな輝きを見せてくれるだろうか?

ちなみに、展覧会情報は下記にてご確認を…。
◎アール・デコの館 庭園美術館建物公開 朝香宮のグランドツアー

コメント / トラックバック 15 件

  1. むらペン より:

    歴史と奇跡!すごいですね!

  2. 上田一生 より:

    むらペン 様

    19世紀後半から20世紀初めの時代は、いわゆる「グランドツアー」の時代でした。

    最初は、大英帝国の富裕層を中心に、次世代の教育・修行のため、長期間にわたって「諸国漫遊」することが流行しました。
    いわば、「地球の丸さ」を実体験で検証する時代でもありました。
    だから、この時代の芸術家たちは、いわゆる「エキゾチックアニマル」を好んで描きましたし、それが購入者の購買意欲を刺激したのです。

    私は、ペンギンがホッキョクグマと並んで「極地を代表する生物」として広く知られるようになった背景の一部には、こういう「大旅行ブーム」があったと考えています。
    この「宮家のペンギン」は、そういった時代の空気を現代に甦らせてくれるでしょう。
    例えば…、このペンギンがエンペラーなのかキングなのか、はたまた…、と想像するだけで、ワクワクしてきませんか?

  3. ぺんふみ より:

    すごい!!
    偶然なんてあり得ない、全て必然って。よく思うのですが。
    ペンギンさんも、長い年月をかけて、帰るべき処に帰ってきたんですね。^^色んな意味で、考える程、わくわくします♪

  4. 上田一生 より:

    ぺんふみ 様

    本物の「アンティーク」には、歳月だけでなく、「その物」が経てきた「由来」・「履歴(来歴)」がとても重要なのですね。
    このアールデコペンギンが、どのようにして宮家の財産となり、また、どのようにして「手放され」て、素晴らしい古美術店主の手元にたどり着いたのか?
    一篇の歴史小説の題材になりそうですね。

  5. ぺんふみ より:

    ほんとですね。誰かに書いて欲しいです*^^*
    是非、読みたいです♪

  6. 上田一生 より:

    べんふみ 様

    「ペンギン歴史文学」の作品は、最近はないですからねぇ〜(~_~;)
    まあ、小説ではないですが、事実関係や背景を、もちょっと調べて、このブログでご紹介しますね(^o^)/

  7. ぺんふみ より:

    はい♪楽しみに待ってます。^^
    展覧会も観に行く事が出来ないので、そのご報告もしていただけると、もっと嬉しいですm(__)m

    「ペンギン歴史文学」!!^^想像力をかき立てられますね^^

    私は、南極のペンギンちゃんが、トイレットペーパーを、マフラーの様に巻き付けていた。って逸話が好きです。好奇心旺盛なペンギンちゃんが、近づいてる内に、クビに巻き付いて、マフラーみたくなってしまったたなんて!!。なんて可愛いんでしょう!!*^^*

  8. 上田一生 より:

    ぺんふみ 様

    展示会報告、必ず致します(^o^)/
    「トイレットペーパーマフラー」は、椎名誠さんのエッセイですね!あれは、本当に面白い話ですね。

  9. ぺんふみ より:

    椎名誠さんだったのですか^^;
    内容は大好きだったんですが。知らなかったです。^^;
    (若しくは忘れていました。)

    私の知り合いの人で、椎名誠さんが大好きで、椎名さんとのキャンプに参加するほど好きな人がいるのですが。
    椎名さんて面白、素敵話沢山あるんでしょうね。
    なんか椎名誠さんの本が読みたくなってしまいました。

    上田先生の、お薦め椎名誠さん本、ご存じなら、教えて下さい。
    ペンギン絡んでなくても良いです。^^

  10. 上田一生 より:

    ぺんふみ 様

    偶然ですねぇ!私も、椎名誠さんの大ファンです。
    私は、ナチュラリストの集まりで、2回ほどご本人とお話したことがあります。
    大変大柄で、エネルギッシュな魅力に満ちた方ですね!

    椎名さんが作品の中で時々描かれる、千葉県の東京湾沿いの昔の光景がとても好きです。
    私も、そこいらで遊びましたので…。(『白い手』に出てきます。)

    例の「トイレットペーパーペンギン」の話は、たぶん、『ロシアにおけるニタリノフの便座について』の中の話だと思います。
    私は、『さらば国分寺書店のオババ』とか『新橋烏森口青春編』なんかの初期の作品群が特に気に入ってます(^o^)/
    これらもやはり、作品の舞台になった地域をよく知っているからだと思います。

    でも、これらは全てペンギンとは無関係ですよ(~_~;)

  11. ぺんふみ より:

    そうなんでか!!*^^*
    まさか、上田先生も参加されていたとは・・・
    もしかしたら、私の知り合いの人とも話されてるかもですね。^^;
    その人も2回くらい参加したって云ってました^^

    本当に魅力的な方なんでしょうね。その知り合いの人も、いきいきして話してはりましたもん。^^

    私は昔「シンラ」て雑誌が大好きでその時に、載ってらした記憶があります。その時は岩合さんが大好きで岩合さんの写真ばかりみてました。
    (今も好きですが。岩合さんの「ぺんぎん大陸」最高です。)

    椎名誠さんにはあまり注目していなかったのですが、上田先生が教えて下さった本、早速、本屋さんで捜してみようと思います。
    ありがとうございます。*^^*
    また、うきうきしてきました。♪♪♪

  12. こばやしゆたか より:

    見てきました。
    1902年にこれだけカッコいいペンギンを作るとはさすがロイヤルコペンハーゲンです。それを買って来た朝香宮さまもえらい。

    ペンギンは彼らがもともといた1階の小客間のもともとの位置にいます。
    そして写真撮影が可能です。ただしストロボ、三脚はダメです。

    場所的に常設展示ができそうなので、聞いてみたのですが、まだ決まっていないとのことでした。

  13. 上田一生 より:

    こばやしゆたか 様

    コメントいただき、ありがとうございますm(__)m!!
    また、最新情報をありがとうございますm(__)m!!

    さすがこばやしさん!素早い行動ですねぇ〜(^o^)v
    実は、私は、まだ「貧乏暇なし」で、美術館に行ってないんです(~_~;)
    できるだけ早く、100年前の美しいペンギン達に会ってこようと思います(^o^)/

  14. white-flipper より:

    私も昨日見てきました。
    いや〜、あわ〜い色合いで気品が漂っていましたよ。

     読売新聞で取り上げられてから、このペンちゃんゆかりの方が、展示を訪れているそうです。なかには、25年間(25年前?)所有していたという方も来館されたそうです。

     上田先生がこちらのHPで紹介してくださらなければ、この、気品のあるペンちゃんSに会うことはできませんでした。ありがとうございます。

  15. 上田一生 より:

    white-flipper 様

    コメントありがとうございますm(__)m!!

    行って来られたんですね!いいですねぇ(~_~;)私は、まだ観てません(涙)(涙)

    そうですか…「気品があります」か…(^o^)/早く、自分の眼で、実物を観たいものです…(涙)(涙)(涙)

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