近藤鉄也さんのチリ便り〜第54回〜チリのペンギン保護に関する法律環境について興味深い情報をいただきました(^○^)!!

2013 年 4 月 5 日 金曜日

まずは、近藤鉄也様からいただいたレポートをご覧下さいませ_(._.)_!!

上田様

いつもお世話になります。
まだ桜は咲いていますか?こちらは少しずつ秋の気配を感じるようになりました。

さて、本日定例のアルガロボ調査に行きましたので、最近の情報と合わせてお知らせいたします。

先週末はアルガロボとプニウィルの間にあるバルディビアに行きました。ここの海岸は時々ペンギンの(大量)漂着があることで知られているのですが、我々が行ったときには、衰弱したマゼランの幼鳥が潮間帯にいました。周りにいた数人に声をかけたのですが、特に関心もないようで保護センターの位置も知らないそうです。

月曜日にはテレビで、ペンギンの保護をしていた人が罰金を科せられる可能性があるとの報道がありました。チリではペンギンの捕獲・所持が禁止されていて、悪質な場合は最大1億2400万ペソ(2400万円)が課されます。今回の保護者がそれを知らなかったのか、故意に行っていたのか調査中だそうですが、上記2点を見る限り、まだまだ啓発活動が必要な状況です。

今日の調査で確認できたフンボは前回と同じで、昨年と比べてかなり不安な状況です。まだ換羽が始まっていない個体もいましたので、今期の放棄卵を動物園のペアに托卵するには、飼育ペアの繁殖を遅らせる必要がありそうです。

ではまた連絡いたします。

近藤

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近藤様、いつも現地の貴重な情報をいただき、本当にありがとうございます_(._.)_!!日本では、桜前線がいよいよ東北地方に北上しています(^○^)!!

さて、今回のチリでの「ペンギン保護に関する法律」とその施行状況に関するお話はとても重要で興味深い内容ですね!!一般市民がいかに保全に関わっていくか?また、より効果的な保全・救護活動を如何に実現し実行していくか?現状は、まだまだ様々な高いハードルがたくさん待ち構えている…という感じですね(~_~;)(汗)!!

ご指摘のように、ペンギンの生態や保全・救護に関する粘り強い教育普及、啓蒙活動が不可欠だと思います(^○^)!!頑張りましょう(^○^)!!

それとは別に、今回調査に行かれたバルディビアでは、なぜ「ペンギンの大量漂着」が頻発するのでしょうか?おそらくは、海流や風向が要因の1つなんでしょうが…、現地チリでは何かその背景に関する分析や研究、言及はないのでしょうか?もし、その地域が「ペンギン漂着の特異地域」であれば、その近くに小規模でも構いませんからなんらかの「救護センター」的機能をもった施設を確保することは可能でしょうか?近藤様のご意見を伺えれば幸いですm(__)m!!

コメント / トラックバック 4 件

  1. 近藤鉄也 より:

    大量漂着ですが、チロエやさらに南方で産まれたペンギンたちが巣立って北上する際に体力を消耗し、海流の影響で漂着するものと思われます。
    アルゼンチンで産まれてブラジル沖に移動する際にウルグアイに漂着するのと同様ではないでしょうか。

    救護センターですが、別の記事にあるようにペンギンには非常に厳しい規制がかけられていて、たとえば公立のレスキューセンターでも獣医が常駐していなければペンギンを扱うことはできないようです。この制度がチリ人と温帯ペンギンの距離をさらに広げているのかもしれませんね。

    今回漂着を発見した浜のそばには大学の(養殖?)研究施設や漁港もありますので、ペルーに見られるような救護施設くらいなら確保は可能だと思います。

  2. 上田一生 より:

    >>近藤鉄也 様

    いつも大変お世話になっておりますm(__)m!!

    早速のご教示、大変ありがとうございましたm(__)m!!

    マゼランペンギンの回遊については、大西洋サイドでは比較的調査・研究が進んでいますが、太平洋サイドではあまり正確な報告を見たことはありません。
    マゼランペンギンの巣立ちの時期に、大西洋では強い東風が吹くため非常に多数の若鳥が漂着しますが、太平洋でのこの時期の海流と風向・風速はどうなのでしょうか?

    また、チロエで繁殖しているフンボルトペンギンは巣立ち後、どのような回遊ルートをとるんでしょうか?
    フンボルトとマゼランとの交雑問題を考える場合も、この回遊ルートと漂着の問題は重要なカギの1つだと考えております。

    今後ともご教示のほど、何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m!!

  3. 近藤鉄也 より:

    基本的にチリの海岸はフンボルト海流に洗われ、一年中西風が吹いていると言われています。そのため体力を消耗した幼鳥が海岸に流れ着く条件は揃っています。

    チロエで繁殖したフンボの回遊ルートに関する文献はまだ見つけることができませんが、マゼランの漂着に関する文献がありましたのでお知らせします。

    http://www.aveschile.cl/boletin/PDF/15.2/03.pdf

    「今回の海岸よりも20㎞ほど北の地点に2009年3月末に1380羽のマゼランが漂着し、48%が成鳥、52%が亜成鳥。そのうち16羽を調べたところ、7羽に混獲と思われる痕跡があった…。」

    チロエ島以南で繁殖したマゼランがその後北上していることを裏付けるデータだと思います。

  4. 上田一生 より:

    近藤鉄也 様
    お忙しいところを、ペンギン漂着に関する詳しい情報をいただき、本当にありがとうございましたm(__)m!!この現象は、今後、フンボルトとマゼランの保全活動を有効に進めるにあたって、その重要性を増していくと思います。大西洋岸のような救護体制が太平洋岸にも整備されていくためには、詳しく正確な情報入手と研究が不可欠です。今後とも、継続的な調査と研究が必要ですね(^○^)!!

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