2026年3月11日(水)、学術誌『Science Advances』(第12巻・第11号)に、キングペンギンの繁殖周期に関する新しい研究成果が発表されました。
この研究をまとめたのは、ストラスブール大学(フランス)のガエル・バルドン博士、モンクトン大学(カナダ)のテオ・バラクヨ博士をはじめとする、フランスとカナダの研究者グループです。
詳しくは、以下のサイトにてご確認下さい。
複数年にわたる環境要因が亜南極海鳥の繁殖フェノロジーと繁殖成功率を左右する|サイエンス・アドバンシズ https://share.google/AinfjKipwwgxXSv0L
ポイントは以下の通り。
①、2000~2023年の24年間にわたって、クロゼ諸島で繁殖するキングペンギン17,000羽(全て標識で識別)について、その繁殖周期について調査・分析した。
②、その結果、この間、キングペンギンの繁殖開始時期が19日早まり、繁殖成功率が44%(2000年)から63%(2023年)へと高まった。
③、①+②により、今のところクロゼ諸島のキングペンギン個体群は、環境変化にうまく適応し、繁殖周期を変化させていると考えられる。
このような研究は「フェノロジー(生物季節学)」と呼ばれており、「季節の変化(周期)と生物の生態(繁殖周期や移動など)」との関係を分析するものです。
南アメリカでは、パタゴニア南部でかつて繁殖していたキングペンギンが戻ってきていることが報告されています。このような現象も、ひょっとしたら、クロゼ諸島のキングペンギンの変化と、なんらかの関係があるのかもしれません。
今後の研究や、新たな発見が楽しみですね。







繁殖フェノロジーが変化し、それに応じて個体群が適応している可能性が示されている点がとても興味深いと感じました。一方で、生物のこうした動態の変化に対して、保全の考え方や管理の枠組みがどこまで対応できているのか気になりました。
例えば、保護の対象や管理の単位が固定的である場合、実際の生態との間にずれが生じる可能性もあるのではないかと感じています。研究によって明らかになる変化を、どのように制度や保全の現場に反映していくのか、非常に重要な視点だと感じました。
時間はかかりそうですが、元の論文をしっかり読み込んでみようと思います。
井上 歩 様:的確なご指摘、誠にありがとうございます。野生のペンギンの「繁殖周期」の変化は、研究対象として大変興味深いだけでなく、保全活動を立案・継続していく上でも非常に重要な要素です。地球温暖化だけでなく、いくつもの環境要素の急激な変化が、ペンギンやその捕食者、餌生物の「繁殖周期」にどのような影響を与えるのか?長期的に継続観察していく必要があると思います。もちろん、「飼育下個体群の繁殖周期の変化」についても同様です。